帰らぬ日々、ゆえに狂おしい。

nornor082006-12-26

■今月2日目の更新・・・ちゃんと更新しないとなぁ、完全に緩んでました。

武士の一分(渋谷シネパレス)★★★☆6.5

監督:山田洋次 出演:木村拓哉 檀れい 笹野高史 桃井かおり

基本的に山田の映画は好きなほうではない、が、本作「武士の一分」は非常によかったです。昨今のセカチュー的な映画に対するアンチ的作品。話題性のみにこの映画を観にくる人間に「セカチュー」的な映画のつまらなさを教える、そういう意味で木村拓哉というキャスティングも非常に戦略的だと思う。
主人公、下級武士の三村はその職務、殿様の毒見役の任で貝の猛毒に犯され盲目になる、突然の不幸、それを支えるべく妻の加世は自分の身を売る、それを知った盲目の三村は妻と離縁する「俺の知ってる加世はもう死んだ。」その後その妻の相手に決闘を申し込み、その相手を破った後に三村に仕える徳平の計らいにより妻は戻ってくる。と物語としては非常に凡庸なのだが山田は悲劇の中にある諧謔や理不尽さを非常にうまくみせている、さすが。ただラストは三村の表情で終わってほしかった、三村のやるせない表情で・・なぜか?
ラスト彼ら夫婦は決して元のサヤに戻ったのではないということを強調すべきだからである、鳥篭や、つがいの鳥など「形式」をあの頃に戻そうとする三村の行為、「もうあの頃には戻れない」ことを三村自身がわかっているからこそ形式的なのである。三村は何度も加世が、よその誰かに抱かれたことを思い出し、盲目が故の妄想に苛まれる事だろう。「もうあの頃には戻れない」、帰ってきた妻は「俺が知ってる加世」ではなく「俺が知らない加世」であり、それはつまり絶望的に「あの頃の二人には戻れない」ということであるがしかし、それでも尚、二人が共に生きる選択をした。ということに僕たちは何を、思い、馳せるか。


X-MEN 2 [DVD]★★★5.0  X-MEN〈特別編〉 [DVD]★★★☆5.5 
X-MEN」はその「X-MENⅢファイナル」がもうすぐ出るのでそのとき書くけど、面白いです。PLUTO 4 (ビッグコミックス)最新刊で遂に出てきた、天馬博士がいう「間違う頭脳こそが完璧である。」
ロボット・ミュータントの問題はそう遠くない未来にやってくる。「何をもってして人間と呼ぶべきか? どこからどこまでが人間なのか?」多くの映画や小説・漫画・アニメで散々問われてきたこの問題。クローン技術の発達により今後直面する新たな諸問題を私たちは何をどう考え選択していくべきか、もう目の前のことである。
ユナイテッド93 [DVD]★★★6.0 どこからどこまでが真実なのかは闇の中だがそういう側面からではなく、この映画に911テロ時のリアルタイムのアメリカの表情をみるべき。興味深く面白い。
M:i-3 ミッション:インポッシブル3 スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]★★4.0 まぁまぁ、mi1以下mi2以上。


■「抜粋」

「自分が誰も愛するものがなく誰にも愛されてないということを厳然ととらえていてくれ。そしてどうして事が始まったかを忘れんでいてくれ。どうしていまのここにいるのかを忘れんでいてくれ。」(abuque)